暁の明星 宵の流星 #125
いつの間にか、嵐は去っていたようだ。
ふと、窓辺に目をやると、もうすぐ明け方なのであろう、薄っすらと大地との境界線がほの明るい。
サクヤは寝台の上で寝返りを打つと、溜息をついた。
昨日もアムイは皆の目の前に現れなかった。
気になって、ずっと眠れないと思っていたが、少しうとうとしていたみたいだ。
何か覚えていない夢を、断片的に見ていた気がする。
ずっと、考えていた。
アムイの態度が急変したのは、あの男が現れてからだ。
南の国の傭兵をしている、と言っていた男だけあって、恐ろしく強い。
いや、恐ろしいというよりも、禍々しくて吐き気がする。
あの男、ヘヴン=リースと対峙していた時の、アムイの様子は本当に変だった。
近くにいたサクヤでさえも、戸惑うくらいに…怯えていた…?
何に?あの男に?それとも…別な事にだろうか。
よくわからないが、あの男のせいで、まるで昔の頑ななアムイに戻ってしまったかのようだった。
本当は、納得なんかしていない。
いきなり突き放して、聖天風来寺(しょうてんふうらいじ)に行け、なんて。しかも別々になんて。
それでも丸一日、なるたけ冷静に考えてみた。…確かに、皆の言う事は正論だ。
自分の今の実力では、【暁の明星】と共に行動しても足手まとい…。
天下の聖天風来寺……。腕を磨き、レベルを上げるにはこれ以上のない修行場だ。
それが特待生で招かれるなんて、夢みたいな話だ。
一年前のサクヤなら、有無を言わずに飛びついていただろう。だが…。
わかっているけど、自分の感情の奥底でうごめく何かが、思いっきり後ろ髪を引くのだ。
足手まといになるであろう、だけど、これからあの二人が数多の者に狙われるとわかっていて、離れていいものだろうか。
サクヤはアムイの傍を離れるなんて、今更思いもしてなかった。
特にアムイがセドの王子だと知ってしまってから、胸の奥底から、守りたいという激しい感情が芽生えてきたのは否定しない。
(冷静に考えれば、腕を上げる方が先…なんだろうな。でも、自分の気持ちはどんなことしてもついて行きたい、という方に向いている。…これって、やはり血…なのかなぁ…)
自分がセド人だと自覚してからなのだが、幼い頃に母親が言っていた事が、つい最近になって色々と思い出されてきたのだ。
《サクヤのおじいさん…、母さんのお父さんはね、実は有名な武人だったのよ》
《おじいちゃんが?》
《そう。先代の神王の護衛官までしていたんだから!
……戦(いくさ)で、神王様を守って亡くなった、本当に勇気ある忠義な人だったの》
《知らなかった!すごいねぇ、おじいちゃんが武人さんだったなんて!》
《お母さんの生まれた家は、代々将軍を出してきた武家一族の分家でね。…本家は神王様御一家をお守りする役目をいただいていたほどの家柄なのよ。特に直系の男子は、生まれた頃から王族の護衛になるよう育てられて、優秀な者はそれこそ直接神王や王子付きになるの。最年少で王子付きになった、セドの大将軍“東の鳳凰”は、実はお母さんの再従兄妹(はとこ)にあたるのよ!それはそれはすごく強くてね、格好よかったなぁ。…今はわけあって行方知れずだけど。
おじいちゃんも…名の知れた武将だったけど、…次々に跡継ぎを戦や病で亡くしてね…。最後の男子だったお母さんの弟が継いだんだけど、力不足で、結局お母さんの家は落ちぶれてしまって…。お父さんがお母さんと結婚してくれなかったら、本当にどうなっていたか》
この話は自分の心を最高に鼓舞させた。商人の父親には悪いが、その頃の自分は武道や格闘の方が興味があった。…当時、隣州相手に手広く商売していた自分の父親に、“お前は商才があるから、俺の跡を継ぐんだぞ”、と口煩く言われていた反動だったのかもしれない…。今思うと、そこそこ裕福だった父が、母の実家の援助をしている関係だったようだ。サクヤは子供心に、母に威圧的な父とは、どうも相容れないものを感じていた。
《そうだったんだ…。じゃ、オレには武家の血が流れているんだね!》
その時の母の哀しげな顔は、幼い自分でも胸を掴まれたほどだった。
《……そうね。おじいちゃんが生きていたら絶対、サクヤが生まれた事を喜んでくれたと思うのよ。…戦力になる男の子は、お母さんの家では重宝されるから。あ、そうしたらお父さんが怒るかな。絶対サクヤを自分の跡継ぎにするっていつも言ってるしね》
幼い頃の壮絶な体験が、昔の事を覚えている余裕など無くさせていたようだ。
セドにいた頃のこんな会話、まったく忘れていた。今まで思い出すことなんてなかったのに。なのにどうして今頃…。
とにかく幼かった頃の記憶なのでうろ覚えだが、この記憶が正しければ、自分は元々武家の血筋を少なからず持っていた筈なのだ。しかも王家専属の。…母方の祖父の家名は覚えてないが、本家はとにかくすごい家柄だっらしい。
だからこその母の口癖。
《私達はセドの国民。いつか必ず、神王様が私達を助けに来てくれる》
《神王様が私達を守ってくださるように、私達も神王様とその御子息様を大切にするのが国民(くにたみ)の務め》
…母が父には内緒で、こっそり自分に語っていた言葉が、こうも自分を突き動かすとは。
もう一つ思い出したのは、その母が、亡くなる時に自分に託した耳飾り。
あのセドの輝石、“女神の涙”は、母が実家から貰い受けたものだったという事…。
それは暗に、母は自分が本来王家を守る男子だと、言いたかったのかもしれなかった。
憶測でしかないけれど思い起こしてみれば、商家に嫁いだ身とはいえ、母はやはり武家子女の誇りが捨てきれなかったようだった。父の手前、一切その事を話題にした事がなかったが、自分と二人だけの時に、まるで呪文のように口に出していた。
《セドの男なら、王家をお守りするのは当たり前よ、サクヤ。特にお前の血筋は、そこらの兵士とは違う。国や王家に何かあったら、どんな形でもいい、真っ先にお仕えなさい》
本当に何故、今まで忘れていたのだろう。
だが、サクヤにはこの間イェンランに指摘された事も、頭から離れないでいた。
《ねぇ、サクヤ。…アムイはあなたとは対等でいたいんじゃないかなぁ?
…何かアムイは対等な友人を欲しがっているよう気がするの。
だから必要以上に、サクヤが下手に出るのを嫌がっているような…。
きっとそれだけじゃないと思うけど、今までずっと二人を見てきて、私、そう感じたんだ…》
……前から彼女の鋭さには気がついていたけれど、ああしてズバリと見抜かれてるとは思っていなかった。
アムイの頑なな言動に、少なからずそういう節が見受けられていたのは、最近、互いに気持ちが近づいてきた頃から、薄々自分も感じていたことだ。
だが皮肉なことに、特にアムイが王家の血を引く事を知ってしまってから、対等な気持ちになんて思えずにいる自分に苦笑した。
《だからもうやめてくれ!護るとか、兄貴とか。…俺は…俺はそんな主従関係みたいなのはごめんだ!》
《……俺は護られるような人間じゃないんだよ!それ以上に、盲目的にそういう気持ちを押し付けられるのは嫌なんだよ!》
サクヤは複雑だった。
同い年とはいえ、自分は最初から彼の強さや技術に憧れたのが始まりだったから。
最初は嫌がる彼に同行してでも、技や強さを盗めばいいと思っていた。
でも、どんどん接するうちに、刃物のようなアムイの言動に隠されている素の部分が見え隠れして、武人としてだけでなく、人としても魅了されるようになっていった。
それが、降って湧いたように彼が自分の故郷の王子と判明したのだ。事実を知って胸を熱くすると同時に、妙に納得していた自分がいるのは、無理もない事だ。
卑屈な気持ちではなく、本当に純粋に慕っているだけなのだ。
…でもそれが、アムイの気持ちを苦しめているとしたら。
気持ち的には、何年かかっても、同等に彼に接するなんてできそうもないが、自分が然るべき所で修行し、レベルが上がれば随分違うのではないだろうか。
そうした方が、アムイは自分を認め、傍にずっと置いてくれるだろうか。
サクヤがそこまで考えてしまうほど、アムイに思い入れていた。
これが彼の嫌う主従関係の僕(しもべ)としての気持ちなのか、友情・憧憬としての感情なのか、自分でもよくわからない。
昨日からこうして、ずっと堂々巡りで埒が明かずに、サクヤはいい加減自分に腹を立てた。
(何か、落ち着かないなあ!)
まるで雑念を振り払うように、サクヤはさっと起き上がり、服を着替えると、階下にある食堂へと向かった。
何かしていないと自分が腐るような気がしたのだ。
まだ薄暗い階下に下り、食堂の扉を開けると、もうすでに朝の支度をしに修行僧の若者がいた。
「あれ、お早いんですね」
サクヤを笑顔で迎え入れたのは、まだ入門したての少年僧だった。
昂老人(こうろうじん)の心遣いで、本殿からこうして若い修行僧が、交代で自分たちの為に何人か手伝いに来てくれている。
今朝の当番はこの新人の少年と、彼の指導僧でもある青年僧の二人だ。
「おはようございます。いつもすみません、世話になってばかりで」
サクヤはにっこりと彼に微笑んだ。
「いいえ。食事の支度も修行の一環でもありますゆえ。こちらが好きでさせていただいています」
少年僧も笑顔で返した。
「そうですか…。実は何か目が冴えてしまって。オレにも手伝わせてください」
「え、でも」
「まあまあ」
サクヤはそう言うと、さっさと食堂の続き部屋にある厨房へと入っていった。
そこには青年僧が飯を炊いている姿があった。
「あれ、サクヤさん」
この青年僧は、サクヤ達がこの寺院に逃げ込んできた当初に、身の回りの世話を親身にしてくれた一人だった。
「オレも何か手伝わせてください。あ、この野菜を湯がけばいいんですか?」
突然の事に青年僧は、置いてある菜っ葉を指差しながら言うサクヤの様子をじっと窺っていた。が、ふっと笑うと気持ちよく頷いた。
「そうですね。ではお願いできますか?」
いつの間にか外の喧騒が止んで静かになった部屋の中、アムイは寝台ではなくずっと長椅子に横たわっていた。
結局、眠れなかった。
目を閉じると、様々な事柄が夢に出てくるのだ。
もう、思い出したくない事まで鮮明に、だ。
アムイは重い身体をやっとの思いで起こすと、のろのろと窓辺に近寄った。
もうすぐ夜明けだ。
こんな情けなくてどうする?
何とかしなければ、これ以上周りに心配はかけれない。
自分の中に根強く存在する闇の部分。
幼い頃の自分とはもう違う。今、何とか立ち上がらないと、手遅れになりそうだった。
……本当はもう、何か落ち込むとすぐに己を卑下する自分の癖に、嫌気が差していたのだ。
どうしてこうなったのか。
それはきっと、幼い頃に刷り込まれた呪いの言葉が元凶だったかもしれない。
《お前は汚らわしい女の“子”》
《お前の父は大罪人。その血を受けたお前も同等なのだ》
《お前は何故、神の怒りの下に生まれたくせに生きているのか》
《お前の存在自体が罪なのだ》
セド王家に行っていたあの数ヶ月間、王家の人間に幾度となく言われた暴言。
《キイは仕方がない。あれは禁忌の子だが、この大陸には価値のある子。
いつかは絶対に世も彼を認めるだろう。
そのための大きな犠牲はやむ得ないと皆だってわかっている。
だが、お前は違うのだ。
罪を一番感じていた筈なのに、お前の父と母はそれを知っていて、自ら進んで禁忌を犯しお前を作った。
それが一番汚らわしくも罪深い。それは神への反逆。
お前は神が最も忌み嫌う存在なのだ。
だからお前の母は罰を受け殺され、父も国を負われている。
お前は自分の生まれながらの罪を、よく知っておかなくてはならないのだ》
父がキイの母親にしたことが判明し、泣きじゃくる自分に、セドの摂政だった男が、まるで自分を汚らしいものを見るような目でそう言ったのだ。
《いいか、お前はキイとは違う。
同じ父を持ってはいても、穢れたお前の名は、王家の名簿に刻む事も許されないのだ。
王家はお前を抹消する。
セド第5王子の子はキイだけだ。お前はいらない》
そして極めつけのあのラムウの激しい拒絶の言葉。
《お前が…お前達のせいで…セドの太陽は穢された。
お前達が生まれなければ…私のアマト様は罪びとにならなかった…。
ああ、セド王国の太陽!!この国の希望!!真の神王!!
それをお前達は壊したのだ!!
この悪魔め!!お前達は悪魔に唆され、やって来たのであろう!!》
それこそが、自分が闇の箱に閉じ込めた、忌まわしい記憶だった。
思い起こせば、亡くなった両親以外に、自分を慈しみ、否定しなかった身近な存在はキイだけだった。
いや、とアムイは思い出した。
キイは一番の存在だったから、彼しか見えていなかったが、幼い頃はいつも優しく接してくれた父の世話役のハル達だっていた。
…聖天風来寺(しょうてんふうらいじ)でも、本当の親のように育ててくれた竜虎様や、シータだって、心を開かない手こずる自分を、忍耐強く支えてくれたではないか。
この歳になって、アムイはようやく今までの自分を冷静に見ることができた。
それもサクヤやイェンランとの出会い、昂老人のおかげで、自分を苦しめていた闇の箱を消滅させる事ができたのが大きいだろう。
今更に、自分は色んな人間の支えで生きている事を思い知らされた。
生かされている…。
アムイは頭ではない、心からそう湧き出る感情に、胸を締め付けられた。
そう。自分は生かされているのだ。
この地にいらない身なのなら、もうすでにこの世にはいないであろう。
ならば。
なら、自分には何ができる?
自分はこの地で、一体何ができるのか…。
それこそが、亡き竜虎様が言っていた、《お前の成すべき事を思い出せるよう、やるべき事を悟れるよう、私は天に祈ろう》という言葉なのか。
アムイはふと、可笑しさが込み上げてきた。
…【暁の明星】
高位な者が授けるとされる異名。
昔からそれが自分の異名だとは、今ひとつピンと来ないアムイだった。
キイの異名は、彼には似合いすぎるくらいのものだといつも感心しているのに。
誰がつけたのかは、はっきりと聞いたことがなかったけれど、すでに聖天風来寺でそう呼ばれていたことを考えると、竜虎様しか思い浮かばない。あの方が存命のうちに、きちんと聞いておけばよかった。
どうしてこの名を授けてくれたのか。どのような意味合いでか。
自分はキイが全て知っているものと思っていたのに、彼も名のいわれの詳細は知らなかった。
生前、竜虎様が自分達に言っていた言葉、それが全てかも知れぬ。
《宵の星、流れるがごとく。暁に映える星、それを受けてまこと輝く》
だがそれにしても、自分が暁とは。しかも明星なんて。
確かにキイの力を受けるのは、自分しかいないと思っている。いや、そうでなくては許せない。
でも、それを受けて輝けるほどの明星かどうかは…、我ながら疑わしい。
“明星”という希望と華やかさを持つ名は、キイこそがふさわしいと誰もが思うのに。
昔、そのような事をキイに真剣に言ったら、一笑に付されてしまったけど。
《あのなぁ、アムイ。俺は自分の異名が自分らしくて気に入ってるんだぜ。
俺こそ明星なんてピンとこねぇや。
……何でそういう名がお前についたのかは、いつかわかるんじゃねぇの?》
とにかく、自分の異名に負けないくらいの実力を身につけなくては。
このままでは本当に名前負けだ。
アムイは溜息をつきながら、徐々に明るくなる空を眺めていた。
が、その時突然、微かに焦げ臭い匂いが彼の鼻腔を刺激した。
(?)
アムイは一瞬、どこかで焚き火でもしているのではないかと思った。
だが、それは自分の思い違いだということが、気になって窓を開けてみてわかったのだ。
「火事だ!」
アムイは思わず叫んでいた。
自分の左斜め上の屋根が、黒い煙を出しながら赤く燃えている。
ヒュン!
「!!」
突然の矢を射る音に、アムイは目で追い驚いた。
誰かがこちらに向けて火を射っているのだ。
その方向を目を凝らしてみると、多勢の兵士が隊を組み、こちらを攻撃している。
先程の嵐で湿りがあるとはいえ、特殊な油についた火は消えることなく、瞬く間に燃え広がっていく。
「いけない!」
アムイは舌打ちした。
まさか。でもまさか!
追っ手がここを嗅ぎ付けて、やって来たとしか思えない。
だが、誰だ?南か?それともユナか別の組織か?
アムイは部屋を飛び出し、大股で急ぎながら声を張り上げた。
「キイ!イェン!サクヤ!」
アムイは必死になって彼らを捜しに部屋を覗きまくった。だが、誰一人とて部屋にいなかった。
「どこへ行ったんだ…」
アムイは焦った。とにかくシータ達のいる、反対側の廊下にある部屋に行かないと…。
「アムイ!」
その時、同じように外の騒ぎに気づいて、シータが走ってやって来た。
「シータ!無事か!今お前の所に行こうと思ってた」
そのシータの背後に、リシュオンや昂老人達の姿を認めて、アムイはほっとした。
「お嬢達は?キイは?」
「それが部屋にいない。俺、階下の方を捜してくるから、シータ達は先に逃げてくれ!」
「何ですって?だったらアタシも…」
「とにかくこの屋敷にいる全員を救出しないと!この時間なら世話役の僧も、リシュオンの兵も屋敷内だろ!?」
アムイの叫びにリシュオンはあわてて頷き、こう言った。
「手分けして屋敷内の者を安全な所に誘導しましょう!私と大法師は右側の方から行きます!」
「じゃ、アタシは左から」
「ああ。俺は中央の階段を下りて一階の方を捜してから逃げる!…となると」
アムイの言葉を昂老人が受けて言った。
「うむ。とにかく敵は我々が一斉に出てくるのを狙っている筈じゃ。
多分奴らの狙いはキイだと思うが、分散して逃げた方がいいじゃろ」
「そうですね、老師。という事は落ち合う場所を決めないと…」
不安そうに言うシータに、リシュオンが答えた。
「なら、聖天風来寺から遠ざかってしまいますが、ここから北西寄りに戻ると、チガンという小さな港町があります。
そこは秘密の波止場となっていて、我々の船を隠し、他の従者を待機させています。
北の第三王子シャイエイ殿の隠れ里で、東の艦隊の入港で、港に入れなかった我々に特別にお貸しくださった。
実は、ミャオロゥ王子と取り合いになった女性を匿うために手配した町だそうで、ミャオロゥ王子もご存じない場所だと。
あそこなら安心です。
チガン町で落ち合いましょう!」
一同は時間がなかったのもあって、間髪入れずにリシュオン王子に同意した。
そして彼らは急いで別れた。
アムイはとにかく、見つからない他の人間が気がかりだった。
「キイ!イェン!!」
アムイは飛ぶように階段を駆け下りていった。
きな臭い匂いと白い煙が徐々に迫ってくる。
「サクヤ!!」
アムイは必死で残った人の姿を捜しながら、一階の廊下を走り抜けて行った。
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント