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2010年12月

2010年12月30日 (木)

今年も最後になりました

年も押し迫ってきました。

今年中にこの章を書き上げようとがんばってみたのですが、
やはり現実的に無理でした

計画通りに終わらず悔しいのと、更新がないのに覗きに来てくださる方々に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
こんなブログでも、アクセスいただくなんて、本当にありがたいことです。


やはり年末はパソコンが開けられません…。


ということで、正月早々から、何とか書き溜めできると思います。

当初の予定、年内完成できないのが悔しい。

あともう少しなのに。

このような小説ですが、お付き合いいただいて本当に感謝です。

春までにはフィニッシュできるよう、頑張ります。


ということで、年内の更新は本日で最後にしたいと思います。

次回は年明け早々から始めたいと思います。

この一年、お付き合いくださり、本当にありがとうございました。

皆様もどうかよいお年をお迎えくださいませ。


そして厚かましいですが、来年もよろしくお願いいたします。


Rakugakiyo_convert_20101229075710

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2010年12月19日 (日)

暁の明星 宵の流星 #127

《お知らせ※#126の、ミカエル少将、キイの台詞部分を若干改めました。最初の内容がわかりにくく申しわけありませんでした

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…


目立たぬように、二人が急いで裏庭に回った時には、まだ何事も起こっていないかのようにひっそりとしていた。
だが上空を見上げると、赤々と燃える炎が目に入り、火の粉がぱらぱらと落ちてきている。
キイはイェンランを伴って、裏にある出入り口を調べ始めた。
離れの屋敷は、さすがに貴賓客も泊まる事もあって、かなり大きい造りとなっている。
そして所々、むき出しの廊下があり、入り組んだ設計の間取りであるこの離れの屋敷に、絶妙なアクセントを作っていた。
この所々に現れるむき出しの廊下には、赤い丸木の柵がかかり、そこから外の景色と、丹念に手入れされている庭を臨められるようになっていた。
屋敷には正面に据えた広くて風雅な造りの正規の庭、風流な中庭、そして手入れはされているが、シンプルな造りの裏庭がバランスよく配置されている。
屋敷から見て北側の裏口付近にキイとイェンはいた。
二人は周りを覗いながら、茂みから入り口に近寄ろうとした。
その瞬間、東側の裏口の方から、一人の人間が転がるように飛び出てきた。
「大丈夫か!?」
キイは思わず、煙にむせながら慌てて飛び出た中年の男に駆け寄り手を貸した。
「あ、ああ…!よ、宵様よかった…!ご無事でしたか!」
それはこの屋敷の管理を任せられている住み込みの奉公人だった。
彼は僧侶ではないが、若い時から信仰深く、ずっとこの寺院に奉仕してきた男だ。
「他には誰もいなかったか?」
「はい、誰も見ませんでした。気がついたら辺り一面が煙で…・。
宵様、一体何が起こったのでしょうか」
彼はかなり動揺しているようだった。
「大丈夫よ、おじさん。早くここから逃げましょう」
イェンランがそう彼に言った時だった。
「人がいたぞ!捕まえろ!」
彼らの前に十数人程の兵士達が姿を現し、あっという間に立ちはだかった。
兵士達は三人を襲おうとしたが、その姿に目を見張り、次の瞬間には感嘆の声があがった。
「何という…見目麗しい…」
「まさか、これが噂の…あの、【宵の流星】…?」
もちろん彼らの目を奪っていたのは、キイの麗しい姿なのは言うまでもない。
その兵士らの一瞬の隙を見逃すキイではなかった。
もの凄い速さの手さばきで剣を操り、先手を打つ。

カキーン!!

【宵の流星】突然の攻撃に、兵士らはひるんだ。しかも姿同様、美しい剣使いに翻弄される。

「お嬢ちゃん、おっちゃんと一緒にあの木陰に身を隠してくれ!すぐにここを片付ける」
キイは機敏な動きで、固まっていたイェンランに近づくと、こっそりとそう指示し、再び兵士らの前に躍り出た。
「う、うん。わかった」
イェンランは慌ててこの奉公人の男の腕を引っ張り、言われた木陰に移動しようとした。
すると、キイと対峙していた兵らとは別の隊が、反対の方向からやってきた。
「!」
二人がハッとする間もなく、多勢の兵に囲まれ、もみくちゃにされる。
「キイ!」
イェンランの叫びにキイはすぐさま気がつき、驚くほどの跳躍力で対していた兵士を飛び越え、二人の元に駆けつけた。
この光り輝くばかりの美貌、隙のない大胆な剣さばき。敏捷な身のこなし。
どう考えてもこの男こそ、上官から伝えられた【宵の流星】の特徴そのものだった。
「に、逃がしませんっ!!宵の君!」
兵の声が裏庭に反射する。
それを合図に他の兵士らもわっとキイの後を追い、その場が乱闘となった。
多勢に無勢。
それなのにキイの剣の腕はひるまない。次々と敵がなぎ倒されえていく。
だが実は、やはり“気”を封じられているためか、今ひとつ力が足りないのに本人は焦っていた。
頑丈なタイプの兵には一時の衝撃らしく、倒されても倒されても、しばらくすると再び立ち上がる。
(く、このままじゃ…)
珍しく【宵の流星】に不安がよぎった。やはり己の“気”が全開でないのは厳しいか…。
キイは心の中で舌打ちした。
「さあ、観念してください!宵様!」
自分をすでに【宵の流星】と認識した兵の声に、キイは唇をギリッと噛み、相手を睨み据えた。
次に屈強な一人の兵が、キイの肩にゆっくりと手をかけた。
キイは突然、その手をなぎ払うと、思いっきりその兵の顔面に拳を叩きつけた。
兵が後方に吹っ飛び、その様子に他の兵士らもどよめいた。
「この俺に触るな!!」
キイの低くて凄みのある声が響く。
「お前らの思い通りにはならん。やれるものならやってみろ!」
キイの目が釣りあがり、まるで大陸一獰猛で、大地の王者とも呼ばれる白虎、ビャクのようにぎらぎらと険しく輝いた。
イェンランは言葉なく、そのキイの形相を見つめていた。
いつも知っている彼とは違う。そこにいるのは戦いの本能を滾らせている野生の猛獣そのもの。
これが【宵の流星】の戦闘モードだとは、イェンランは知らなかったが、十分に敵が気負わされる迫力である。
本当のところキイの“気”が封印されていた事は、女のイェンランには刺激が弱くてよかったのかもしれない。
彼が本気を出し、“光輪(こうりん)の気”を全身に漲らせて戦いに挑むその有様は、今より数段も恐ろしいものだからだ。
それは怖いもの知らずの屈強な猛者でも、一瞬で震え上がらせるほどの、鬼神の気迫そのものであるのだ。

「きゃあっ!」
彼女は突然、後方から兵士に抱き捕まえられた。
キイに気を取られ過ぎて、自分に意識を向けるのを忘れていた。
彼のまた違った一面を見て、イェンランはしばらく呆然としていたのだ。
「嬢ちゃん!」
彼女の悲鳴で振り向くキイの隙を突いて、敵が畳み掛けるように襲ってくる。
「くっ!」
キイは彼らの攻撃をかわすのが精一杯で、イェンラン達の傍に行くのが遅れた。
「いやっ!離して!離しなさいよぉっ」
手足をばたつかせて抗うイェンランに、もちろん兵士は手を緩めない。
「こら!その子を離せ」
イェンランを助けようとする奉公人の男も、すぐに捕らえられてしまった。
「嬢ちゃん!おっちゃん!ええい、そこをどけ!!」
キイは渾身の力を込め、目の前の兵士達を押し退けようとした。
しかし、相手も必死である。死に物狂いでキイに突進してくる。
「宵様!お覚悟を」
「無駄な抵抗はお止めください!」
よほど目当ての人間に傷をつけては不味いと見える。多分そう上から命令されているのであろう。
キイに攻撃されても手酷い反撃はせず、彼らは必死に説得にかかってきたのである。
「お止めください、宵の君!
お仲間がどうなってもよろしいのか」
突然、イェンランを羽交い絞めにしていた兵士がそう怒鳴った。
ピタ、とキイの動きが止まる。
「さぁ、宵様。彼らのお命が大事なら、その剣をお捨て下さい!」

キイの頬がピクリと動いた。
「やめて!キイ、捨てちゃだめ!」
イェンランの叫びが辺りをこだました。
が、しばし緊迫した空気の後、ふっとキイは力を抜くと、無造作に己の剣を地面に抛(ほう)った。
「キイ!!」
相手の兵士達が一瞬、ほっと息をついた。そして彼らはじりじりとキイの傍ににじり寄り、捕らえようと手を伸ばす。
「よいお覚悟です、宵様」
イェンランを捕らえている兵士が、にっと笑った。
その瞬間、キイの目がきらりと光り、兵達の手がかかる寸でで、彼は突然屈んだ。
「!?」
一瞬気を取られた兵士達は、イェンランらの後方の茂みから、勢いよく人影が飛び出してきたのに気がつかなかった。

ガキーン!!
「うぁあぁぁぁっ」
突然、前方上空から襲われて、兵士達は身構えるのが遅れた。
その隙にキイは低姿勢で手を伸ばし、落とした己の剣を素早く手に取った。
「宵様っ」
兵士の悲鳴と同時に、キイは見事な剣さばきでイェンランを捕まえていた兵士を斬った。
彼は後方に勢いよく倒れ、その反動でイェンランは前方に突き放された。
「お嬢ちゃん!!」
キイは間髪入れずに彼女を受け止め、つかさず振り返り大声を張り上げた。
「アムイ!!」
キイの叫びで、イェンランはハッとして顔を上げた。
彼女の視線の先には、多勢の兵を見事に蹴散らす一人の男の姿があった。
茂みから飛び出した人影はアムイだったのだ。
「キイ!早く二人を安全な場所へ!」
「おう!さすが俺の相棒。いい所に現れてくれるぜ」
キイはアムイに片目を瞑ると、イェンランと奉公人を抱え、人気のない場所へと移動した。
「逃がすか!」
アムイと対峙していた幾人かの兵士らが、突然“気”を凝縮し始めた。
「!!」
アムイはぎょっとした。多勢の兵士達の中に、何人か気術使いが紛れ込んでいる。
(来る!)
アムイはすぐさま、己の“気”も凝縮し始める。

グヮアアァーッ!!!

キイはその衝撃音に驚き、音の方向に振り返った。
「アムイ!」
キイはイェンラン達を茂みに隠すと、急いでアムイの元へと向かった。

キイが元の場へ戻ると、すでに決着がついていた。
思わずキイは口笛を吹く。
あの手入れされた裏庭が、気術戦のために見るも無残な有様となっていた。
辺り周辺が焼け焦がれ、その場に大勢の人間が倒れている。
その燻る煙の中、アムイが剣を収める姿が、キイの目に飛び込んできた。
「相変わらず、やるねぇ」
「二人は」
「ああ、大丈夫だ」
アムイはまだ神経がピリピリしている様子で、さっと辺りを見回した。
「気術士が中に混じっていた。…あの気術将校の“気”を感じる…。
ということは、俺の“気”をたどって、奴が追ってきたとしか思えない…」
アムイは唇を噛んだ。
「おいおい、この襲撃が自分のせいとか何とか、まさか言わねぇよな?」
キイは釘を刺した。アムイはぐっと言葉を飲み込む。
その様子にキイは目を細め、アムイの傍に寄ると、がしっと肩を抱き寄せた。
「なら、早くここを立ち去ろう。もちろん、お前の“金環の気”をあちらこちらに置き土産してね」


巨大な“金環の気”の発動を察知し、慌ててミカエル達が現場に駆けつけた時には、アムイ達はすでに去った後だった。
「何っ!?取り逃がした!」
ミカエル少将は珍しく声を荒げた。
「この俺が来るまで、何故持ち堪えられなかった!!あれ程鍛錬していたにも拘らず!!」
「も、申し訳ありません…。確かに宵の君は通常以上にお強かったですが、“気”を封じられている事で、我々も多少侮っておりました…。
そ、それにまさか暁が、このように想像以上に強かったとは…」
何とか生き延び、うな垂れる少数の兵士らに、ミカエルは喝を入れた。
「馬鹿か!?お前達は!!
何のために、俺が直々に訓練した気術士を紛れさせているんだ!
いつも言っているでないか!あれ程“金環”の使い手に油断するなと」
ミカエルは地団太を踏んだ。
「しかも宵の君を逃すなどと…宰相になんて報告すればよいか…」
ミカエルは頭を抱え、一通り悪態をつくと、大きく息を吐いた。いつもの冷静さを取り戻そうと必死になる。
「くっ、くく…」
「ミ、ミカエル少将…?」
突然、彼の中から、どうしようもない笑いがこみ上げてきた。
「ふっふふ…この俺を、惑わそうなんて。やるじゃないか、暁。
益々楽しくなってきたぞ」
「少将?」
兵士達は、自分らの上官がおかしくなったのではないかといぶかしんだ。 
だが、そうではない。怒りを飛び越えてミカエルの胸の内に、【恒星の双璧】の二人に対するかなり興味が膨れ上がってきたのだ。
神の“気”を持つ男。そしてその男に影のように寄り添う王者の“気”をもつ男。
(面白い…)
ミカエルは絶対に彼らを手にすると、今まで以上に心の中で誓った。
「俺が暁の“気”を追って来たと見抜いたようだな。
この俺の鼻を惑わすために、あちこちに“金環の気”を凝縮した玉を撒き散らしていきやがった!
しかもこの敷地内だけに、だ。
その上、外に出た事を悟られないよう、暁の“気”を封じた者がいる」
それは容姿に似合わず、曲者という噂の【宵の流星】しか考えられない。
「おい、急いで宰相の元へ引き返すぞ。
宵の君はここを出られた。早々にここを引き払い、彼らを追わねば」
「はっ!」
ミカエルの一言で、まるで潮が引くように、彼らは離れの屋敷から撤退していった。

その様子を東側の高台で眺めていた昂極(こうきょく)大法師は、するりと身を躍らすと、下に控えているリシュオンの元へと降り立った。
「キイが寺院を出た様じゃ!さ、リシュオン王子、我々も北西へ向かいましょうぞ」
リシュオンと彼の従者や兵士達も、何とか先に難を逃れ、昂老人と共に、この森の中に避難していた。
「チガン町に行くにはちょっと遠回りですが、幸いな事に我々の姿を敵に見られぬままここまで避難できた。
相手は西の国の我々が仲間だとはわかっていない筈。ならば多少変装し、堂々と北西に向かいましょう。
かえってこそこそしない方がいい」
昂老人も頷いた。
「そうじゃの。ネックはわしだろうが、なぁに、小さいのが幸いして、どこにでも隠れる事ができるしのー。
ふぉふぉ、本当に東の避難口が、この森に直通していてよかったわい」
「確かに」
北の鎮守、北天星(ほくてんせい)寺院の最高峰となる前、実績を積むために、昂老人が何年かこの寺院の住職をしていただけあって、隅々まで建物の構造を熟知していたのが幸いした。
彼らは隠し扉に守られていた東の避難口から、何事もなく逃げられたのだ。
「では、急ぎましょう」
リシュオンはイェンランの存在がかなり気になったが、複数の兵を抱える身、今は個人的に動けなかった。
彼は彼女がキイと共に行動していると信じ、とにかくここにいる全員を無事に目的地まで誘導しようと、支度を始めた。


一方、サクヤ達は何とか西の避難口を出て、北西にある小高い山を登り始めた。
(この人達を早く安全な場所に連れて行かないと)
サクヤは歩を緩め、後ろから続く二人の若い僧侶を振り返った。
「白鷺(しらさぎ)さん、ここら辺にあなた方が安全に身を寄せられるところはありますか?」
だが、彼から返事がなかった。二人とも、そわそわと周辺に気を取られている様子だった。
「どうしましたか?白鷺さん、周明(しゅうめい)さん?」
サクヤは立ち止まり、眉根を寄せた。
「あの、サクヤさん」
突然、最少年の周明がおずおずと顔を上げて、サクヤに言った。
「私、寺院に戻ります」
「何だって?」
思いもしない言葉に、サクヤは驚いた。
「何を言っているんですか!今戻っても寺院は火の海ですよ。
襲ってきた敵がまだいるかもしれないのに」
うな垂れる周明に代わって、先輩僧の白鷺が答えた。
「だからです、サクヤさん」
「白鷺さん…」
「私達は自分の事よりも、御堂や住職、仲間の僧侶が心配なんです。
大事なものを放っておいて、このまま私達だけ安全な所に逃げたくない。
せめて、せめて御堂や他の者の安全を確認したいのです」
「……」
「サクヤさん、ありがとうございます。
あなたはどうか、このまま逃げてください。
私達は引き返します」
二人はそう言って深々とお辞儀をすると、慌てて今来た道を引き返し始めた。
「ちょっと!」
彼らの気持ちもわからなくはない。
だが、だからといってこのまま放って置けるわけもなかった。
あの多勢の兵士達がまだ残っていたら…。
「くそっ!」
サクヤは舌打ちすると、彼らを追って、自分も今来た坂道を下っていった。


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2010年12月11日 (土)

暁の明星 宵の流星 #126

丁度サクヤが鍋から菜っ葉を取り出していた時だった。
少年僧が突然慌てて厨房に転がり込んできた。
「白鷺(しらさぎ)さん!サクヤさん!」
「どうした?周明(しゅうめい)」
白鷺と呼ばれた先輩である青年僧侶が、火をくべながら声の方に顔を上げた。
周明という少年僧は真っ青になって叫んだ。
「襲撃です!」
彼はかなり動転している。
その言葉と彼の切羽詰った様子に、厨房の二人はすぐさまに反応した。
「どういうことだ」
白鷺は近くにあった汲み水で、釜の火を消し始めた。
「とにかく様子を見に行きますので、ここ、お願いできますか?」
サクヤは火の始末を白鷺に頼むと、がたがた震えている周明の肩を力強く掴んだ。
「落ち着いて!詳しく教えて」
と、サクヤは彼を促すと、厨房の外に彼と共に飛び出した。
「!!」
食堂に出た途端、サクヤは絶句した。
大きなバルコニーに続くガラスの窓の外から、数十人ともいえる武装した兵士が弓矢を放っているのが目に入ってきたのだ。
しかも矢の先には火種が…。
(何てことだ…)
冷や汗をかきながらも、サクヤは急いで再び厨房に戻って行く。
「白鷺さん!ここから早く逃げて!大勢の兵が火を放ってる!」
その言葉に白鷺も驚嘆し、思わず手に持っていた柄杓を落とした。
「屋敷の中には入ってくる気配は今の所ないけど、このまま出て行ったらまずい。
とにかく裏手から逃げましょう!」
サクヤは気が動転している二人の若い僧侶を励まし、やっとの思いで食堂から廊下に出ようとした。

ガシャーン!!

突然、食堂のバルコニーの扉のガラスが破られた。

2-3人の兵士が、破ったガラス扉から侵入してきたのを、振り向いたサクヤの目に飛び込んできた。
「急いで廊下に出て!」
サクヤはそう叫ぶと、懐に仕舞っていた短剣をかざし、兵士達に向かって行った。
「サクヤさん!!」
若い僧侶らは、顔面蒼白でおろおろするばかりだ。
「早く!」
サクヤは兵士達の剣を受けながら必死に大声を張り上げた。

「ミカエル少将!計画通り数十名を確認のために屋敷に侵入させました!」
近くで部下がそう報告すると、ミカエルはニヤリとして自分の顎を片手で撫でた。
「火攻めであぶり出すだけでは手落ちになる。
相手はあの【恒星の双璧】だ。…どさくさに紛れて逃げられても困るしな。
外に残っている者は、四方に散って敷地内から奴らを出さないように出入り口を塞げ!
逃げ出てきた者は、一人残らず宰相の元にお連れするという命令だ。
とにかく屋敷の人間全てを捕らえるんだ!」
彼の命令で、兵士達は敏速に行動に移した。
「とにかく我々の最終目的は【宵の流星】!目当てが手に入りさえすれば、それはそれで他は斬って捨ててもかまわん!…そう、天下の【暁の明星】だろうが、名のある気術士だろうがな!
しかしこのような状況だ。宵の君の身を誤魔化して逃れようとする可能性もある。それまでは本人と確認するまで、どんな輩でも引っ張って来るんだ」
ミカエルは確信していた。
いる!近くに暁の“金環の気”をひしひしと感じる。
ということは、その近くには必ずや宵の君もいる筈だ。
残念ながら、天下の宵様の“気”は封じられているために、噂の神気とやらを感じる事ができないのは惜しい。
話だけしか聞いていないミカエルは、【宵の流星】に興味津々であった。
あのティアン宰相が己を忘れてしまうほどの彼の美貌と力。
天人がこの地に降りた、神人の化身とまで言われるほどの…男。神の子孫であるセド王家の生き残り。
是非、直に自分のこの目で見たい。
ミカエルは普段冷静な自分が高揚しているのを感じていた。

「何ということだ!寺院に火を放つとは!!」
一方、本殿の奥、離れの屋敷炎上を背景に、大勢の僧侶達がこれまた多勢の兵士に囲まれ、寺の外に追い立てられていた。
そのうちの恰幅のよい、見るからに高僧という出で立ちの初老の男が大声を張り上げる。
「これはこれは、この寺のご住職ですかな?」
寺院を出てすぐ隣の森の茂みに待機していたティアンは言った。
岬の寺院の住職、呉僧正(くれそうじょう)は、ふくよかな頬を歪ませ、坊主頭まで真っ赤にさせながら憤った。
「お主らは一見、北の者ではないな?…どこの国だ!このような無礼、北の民は許すまいぞ!」
「お言葉ですが、本殿…御堂には火は放っておりませんよ。火移りすると神仏に申し訳ないと思いましてね。
……それに確かに我々は他国(よそ)者です。
ですが、あなた方を連れ出した兵士をよーくご覧くださいな」
意地悪く、また面白そうな声色で、ティアンは呉僧正に言った。
その言葉で、僧正はやっと冷静になって、まじまじと近くにいる兵士達を覗き込んだ。
「まさか…」
「ふっ。さすがに自分の国の人間はわかるようですな。
まぁ、彼らに感謝しなされ。せめて御堂や僧侶は無傷で、と懇願され、こうしてあなた方を救ったのですよ」
呉僧正はわなわなと震え、先程まで真っ赤だった顔は、今度は青くどす黒くなっていた。
「奇麗事を!御堂にさえ火を放たなければいいなんて簡単に言うのか。
離れとて、立派な寺の一部。つまり王家の所有物。一体なんでこのような事…」
ティアンの目が光った。
「ほう。王家の所有物、とな。なら、王家の者の許しがあれば、何の問題もありませんなぁ」
その言葉に僧正は眉をしかめた。
「許し…?まさか…」
呉僧正が口ごもったそのとき、一人の北の兵士がティアンの傍に駆け寄った。
「ティアン様、本殿には宵様のお姿はございませんでした。
やはり離れの方におられるのは間違いございません」
呉僧正の顔色が益々青くなっていく。
「では、半数はここで待機。後の者はミカエルに加勢せよ。
離れから出てくる者は、一人残らずここへ連れて来い!」
ティアンの声に北の兵士は頷くと、半数を残し、あっという間に境内に戻って行った。
「……ミャオロゥ様ですかな…?このような愚かなお企ては」
僧正は搾り出すような声を出した。
「住職、もう隠そうとしても無駄ですよ。…貴方はどっかの坊主に頼まれて、大陸の宝を匿っておられる。
あの宝は我らのもの。宝を使いこなせる者が手にするのは当たり前のことではありませんか。
使い方さえもわからぬ朴念仁どもが手にしてももったいない。それこそが愚か。
いくら頼まれたとはいえ大事に隠し持っていては、この世のためにはなりませんぞ」
「…お主…!」
呉僧正は一瞬喉が詰まった。この目の前の男の傲慢さと、前触れもなくいきなり火を放った強引さに嫌悪感が押し寄せてくる。
「何故にそう思うか。お主がどれだけのものぞ!
あの北の最高峰であられる昂極大法師(こうきょくだいほうし)様が使い方がわからぬとは、どういう了見…」
ティアンはニヤリとした。「昂極大法師」
呉僧正は、はっとしてティアンの顔を見上げた。
「あの狸爺。やはり後ろで手を回してたのか…。前から胡散臭いとは思っていたが」
妙な緊張感が二人の間を漂った。ティアンは目を細め、挑発的に言い放った。
「あのもうろく爺がどれだけのものぞ。この大陸で一番の術者はこの私だ。
宵が手に入ったあかつきには、嫌というほど思い知らせてやる!」
よほど昂極大法師に恨みでもあるのか。ティアンの激しい権幕に、呉僧正はただ唖然としているしかなかった。


サクヤは敵の兵士達と互角に戦い、とうとう最後の一人まで追い詰めた。
「…お前達は南の人間だな!?」
元々南で育ったサクヤだ。すぐに彼らが南の兵だと見破っていた。
ということは、やはりあの南の宰相ティアンが…。
「どうやってここがわかった!?」
サクヤは兵士と剣を交えながら叫んだ。
「この生意気な小僧め!簡単に俺を倒せると思うなよ!」
最後の兵士はサクヤよりもひと回り以上も体が大きな男だった。
しかもこのように言うだけあって、力もかなり強かった。
短剣だけのサクヤでは、到底力で敵わないのははっきりしている。
サクヤは得意なすばしっこさを発揮し、男を翻弄していく。
「このっ!ちょこまかするんじゃない!!」
カッとなった男は剣を大きく振り回してサクヤを追い掛け回し始めた。
だがサクヤの動きに追いつけず、とうとう兵士の疲れが出てきた。
そのために兵士は一瞬足をよろめかせた。
サクヤはそれを見逃さなかった。
ガキッ!!
サクヤは兵士の隙をついて、拳を顎の下に命中させた。
「ぐえっ!」
大男である筈の男が、自分よりも小柄なサクヤに吹っ飛ばされた。
倒れた兵士は、倒れた時に打ち所が悪かったせいか、そのまま動かない。
ほっとしたサクヤに、少年僧である周明の叫び声が聞こえた。
青くなってその声に駆けつけると、白鷺と周明を他の兵士が取り囲み、今まさに引きずられようとしていた。
「二人を離せ!!」
サクヤは短剣を振り上げて、彼らの中に突進していった。
もみ合いながらも、何とか二人の元に駆けつけ、兵士の手を引き剥がした。
「こいつも捕まえろ!」
いきなり割って入ったサクヤに驚いた兵士達は、今度はサクヤに集中して襲い掛かってきた。
しかもさっきよりも人数が多く、完全に多勢に無勢。サクヤと若い僧達はあっという間にもみくちゃにされてしまった。
だが、それでもサクヤは負けなかった。
関係のない僧侶達を巻き込むわけにはいかない。
周明達を守りながらも、彼は必死で兵士達をなぎ倒していった。
今までアムイと共に過ごしてきたことが、無駄にはなっていなかったのである。
だが、それでも大勢相手にサクヤは疲れを感じ始めた。
しかも火の手が回ってきたのか、きな臭い匂いが鼻腔を刺激し始めた。
(くそ!このままだと埒が明かない…。どうしたら…)
そう思った瞬間だった。
一人の兵士が周明めがけて大きな剣を振り上げてきたのが目に入った。
「危ない!」
サクヤは咄嗟に周明を庇って、彼に覆い被さった。
周明の悲鳴が上がる。サクヤも思わず目を瞑った。

ザクッ!!

肉を切るような鈍い音がして、人の倒れる音がサクヤの耳に飛び込んできた。
はっとして顔を上げると、そこにはアムイが剣を振り下ろした姿があった。
「兄貴!!」
サクヤは反射的に喜びの声を上げた。
アムイはまだ襲ってくる兵士を剣で迎え撃ちながら、叫んだ。
「この先に行け!早く!反対側は火の手が迫ってきている!
サクヤ!二人を連れて先に走れ!」
アムイは華麗な剣捌きで、迎え来る兵士を倒しながら行き先を指差した。
サクヤは頷くと、二人を誘導しながらアムイの指し示した方向へ走った。
アムイもその場にいる兵士を何とか片付けると、サクヤ達の後を追った。

火の手は上階から階下へと、着実に回って来ていた。

「ここからでしたら西の非常口が近いです。そこから外に出ましょう!」
青年僧の白鷺がサクヤと追ってきたアムイに言った。
「その非常口はどこに通じている?」
「西の裏道に通じています。この離れは高貴な方もお泊りになる屋敷ですので、何かあった場合を想定して、何箇所か避難口が設けられているのです。それぞれ敷地外に通じています」
「他にもそういう出口があるんだな?」
「はい」
「わかった」
アムイは納得すると、サクヤに急いでこう言った。
「サクヤ、この人達を連れて早くそこから出て安全な場所へ行ってくれ!」
「え?兄貴は?」
「実はキイもイェンも部屋にいなかったんだ…。もしかしたら食堂に下りてきているのかと思っていたのだが…」
「…いなかった?じゃあキイさん達を捜さないと!」
「ああ。爺さんやシータらと合流してくれていればいいんだが…。
まだ捜していない所が残っているんだ。そこを確認してから俺は避難する。
だからとにかくお前達は先に逃げてくれ。」
早口でまくし立てるアムイに只ならぬ空気を感じて、サクヤはふと不安になった。
「わかったけど…。ねぇ、兄貴はキイさんの存在はわかるんだよね?」
一瞬、アムイの頬が引きつった。
「…残念ながら、キイは“気”が封じられているせいで、近くにいたとして俺にもわかりにくい。
虹玉もただの玉となってしまったし…」
思いがけず自信無さげな声が返ってきて、サクヤは不思議そうな目でアムイの顔を見た。
実は、“自分が生きている限り、キイはこの世からいなくならない”と昔から強固に刷り込まれていたことが、この間の彼の寿命の話で一気に崩れていたのだ。それがアムイに不安と不信を生み、キイの存在に対する己の自信の無さに繋がっていた。
…キイの”気”が封じられている以上に、キイの存在を信じきることができない。そのために、彼との繋がりを手繰り寄せることができなくなっていたのだ。
滅多に動揺を表に出さないアムイの青ざめた表情を見て、サクヤは心配になった。
まるで親とはぐれ、不安で脅えている小さな子供のように見えたほどだ。
アムイにとってキイの存在が大きい事は、サクヤにもよくわかっている。
だが今まであんなに互いの存在を確信しあっていたのに、二人の間に何かあったのだろうか?
「じゃあキイさんが心配なら、一緒に捜すよ俺も」
思わずサクヤはそう言っていた。どうしても放っておける感じでなかった。
それは、一年という短い年月であったが、四六時中アムイの傍にいて、いつの間にかアムイの感情の波を読み取ることができるようになっていた、サクヤの心遣いでもあったのだ。
「いや」
アムイはそんなサクヤの気持ちがはっきりと伝わったのか、辛そうな、そして切ない顔を一瞬見せた。が、すぐに真顔に戻りこう言った。
「関係の無い僧侶達を危険な目に合わすことはできないだろ?
お前だってわかっている筈だ。俺の心配しなくていい。さ、早く行け」
「兄貴…」
「俺は大丈夫だから!
それよりもよく聞け、サクヤ。彼らをどこか安全な場所に連れて行ったら、そのまま真っ直ぐ、ここから北西寄りにあるチガンという小さな港町に向かえ。リシュオンからの提案で、ここで皆、落ち合うことになった。いいな?」
サクヤは何か言おうとしたが、言葉に詰まった。
本心はここでアムイと別れたくなかった。だが、そのために関係の無い人を危険に晒せない。
この事は自分でも痛いほどわかっている。
サクヤは何とか自分を納得させると、アムイに心配かけさせないように笑った。
「りょーかい、兄貴。どうか気をつけて」
アムイもそれを受けてふっと笑った。
「お前もな。チガン町で会おう」
そう言うとアムイはくるっと身を翻し、再び火の中に戻っていった。
それを見届けたサクヤはくるりと振り返ると、不安げに立っている白鷺と周明に微笑んだ。
「さ、早くここから脱出しましょう!」
二人の若い僧侶はおずおずと頷くと、サクヤに促されながら非常口の方に向かった。


「キイ!イェン!」
サクヤに落ち合い場所を教え、避難させたアムイは安堵した後、行方のわからない二人を捜すのに集中していた。
心の中では、どうしようもないくらいの不安が暴れていた。
何に対しての不安感?
いや、これは恐れにも近い感情だった。
そう、それは遠い昔。幼い頃に味わった恐怖を伴う喪失感に似ていた。
…自分の大事な人間を失うという…あの感覚。
母の血にまみれた姿。父の身体が刃(やいば)に貫かれた瞬間。
……どこから湧いてくるのかわからない、この感覚がずっとアムイを苛んでいた。
胸騒ぎがアムイを焦燥させていた。
「キイ!!」
アムイはキイの姿を求めた。
自分の半身。だけど分かれて生まれた時からは別の人間。
ずっと自分の傍にいると、肉が分かれても離れはしないと、幼い頃から呪文のように繰り返した誓い。
今はそのキイの存在、姿を見失いそうだった。
(キイ!どこにいるんだよ…!何で俺の目の前にいないんだよ!どうして俺の傍にいないんだ!!)
そう心で叫びながら、火の手が迫る一階の部屋を全て確認する。だが、思う人の姿は中にはなかった。
アムイは絶望にも似た思いで、炎を背に裏庭に続く扉から勢いよく飛び出した。


一方、いち早く襲撃を知り、皆にこの事を知らせようと展望台を飛び出し、再び屋敷に戻ろうとしたしたキイとイェンは愕然としていた。
ちょうど展望台に繋がる屋敷の入り口に置いてあった灯り用の油壺に、射そこなった火の矢が命中したらしく、入り口は火の海と化していたのだ。
「どうしようキイ、これじゃここから中には入れないわ」
「くそ…。お嬢ちゃん、武器は持っているかい?」
「…え、ええ。一応護身用の剣なら、いつも見につけてる。…ただ得意な武器は部屋に置いてきてしまったけれど…」
イェンランは口惜しそうに呟いた。
ほんのちょっと部屋から出るつもりだったから携帯しなかった。まさかこんな風になるとは思わなかった自分の甘さにイェンランは唇を噛んだ。
「いい。剣を持っているだけでも。
俺が嬢ちゃんを守るから。安心して、落ち着いて一緒に来てくれ」
「でも、キイ。貴方“気”を封じられてるんでしょ?大丈夫なの?」
その言葉にキイは何事も無い顔でははっと笑った。
「一応人並み以上の身体能力だけは残ってる。これは“気”に関わらず訓練されてモノにした力だからね。
まあ少しは気力が足りないかもしれないが」
イェンランは心底キイに感心した。本当にこの人は危険には動じないんだ…。
“気”を封じられ、力が半減しているなら焦燥や不安だってある筈だ。
だが、か弱い彼女に余計な不安を与えないよう、何でもないという態度を崩さない。
むしろ笑い飛ばし、面白がっているところさえある。
イェンランはキイが傍にいてくれるだけで、心強かった。
(…でも、その動じない態度も、アムイが絡むと脆くも崩れてしまうのだけど…)
イェンランはアムイを心底羨ましく思った。…そしてあのカァラの話を思い出し、アムイ以上の存在には、誰もがなれないということを思い知った。でも…。
「嬢ちゃん?」
思いに耽っていたらしかった。キイに話しかけられて、イェンランはハッとして顔を上げた。
「ごめん、で、これからどうするの?」
「とにかく裏庭の方に回ろう。正面から襲われているんだ。中の人間は裏口から逃げ出す方が普通に多いだろ。
敵があぶり出しにかかっているとすれば、兵を何人か分散させて正面の他の出入り口付近に待機させる。
他に避難口があればいいが、それでもきっと奴らは四方を囲むことくらいしていると思う。
つまり逃げ出してきた人間が危ない。だから先回りしようと思う」
「わかった」
イェンランは力強く頷くと、キイと共に裏庭の方に走った。

これからどんな危険が待っているか知れないというのに、不思議と彼女は全く怖くなかった。
それはキイの圧倒する存在が近くにあるからだ。

…イェンランの心には、キイへの絶対なる信頼が生まれていた。

 


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2010年12月 4日 (土)

今しばらくお待ちください

毎回ご訪問くださる方には
本当に感謝の言葉しかございません。


ここにきてまた更新が滞っております…

風邪、再発です。(特に娘が)

もう今年もあとわずかというのに…。

それで娘もやっと落ち着きまして、現在#126、まだまだ執筆中です

大変申し訳ありませんが、今しばらくお待ちください…。

で、この先ちょっとつぶやきます。ご興味ない方はスルーお願いします


Akayoi2_convert_20101204103157

結局この調子ですと、年内完成はどう考えても…無理です
まだ2章も残ってる…(汗・汗・・・・)

当初よりも話が膨らみすぎて、長くなったのもありますが、
とにかく書いている時間がありません


それでも後半の話が脳内で全てできたのもあって、
あとは肉付けしながら書くだけなのですが、
ぶっつけ本番ということは最後まで変わらなく、
この先どうあがるかも多少改変あるかと思います。


本当はこの先を、一気に書き上げてしまいたい…。


でも、久々に読み返してみまして、まーぐだぐだしてるなぁ、と。
自分でも思いました…。これは読み物としてはどうよ?とちょっと…。

ということで、後半になってからは、一切宣伝もせず、
ブログ村にだけトラバ打ってるだけ、という状態です。
なので、本当に最初からお付き合いしてくださっている方のみが
遊びに来ていただいている状況です。
(たまに、え?!という内容の検索でご訪問くださる方もいらっしゃいますが。
いつも頭をひねるのは、グーグルの英語圏から…???)
本当にその方々には頭上がりません!

その方々のお陰で、最後まで書こうと決心しています。

当初の予定よりも2ヶ月くらい延びそうですが。

ここまできたら最後までつきあうぞ~と思ってくださる方には、
感想云々として、私の方から感謝状を出したいほどです…。

いくら初小説とはいえ、このような実験的な内容を、
ネット上に晒していいのかと常々思っていましたし、
できたらちゃんとした小説サイトに、完成版を発表するのがいいとも思っていました。
…ですが!思っていたら、なかなか完成品を出せなかった、ということがあって(たら~)
何も考えずにこうしてライブで書く、という事を無謀にも始めてしまったわけです。
その時ははっきり、どういう構成のものを書くかも、タイトルすらも決まっていなかった。
ぼんやり設定のどれを題材にするかも決めてませんでした。

…それが去年の11月にタイトルをノリでつけて始めたのが…。

このブログ立ち上げてから、一周年経ちました。
(書き始めたのは1月からでしたが)

あっという間でした。

お陰さまであと2章を残すのみとなりました。

ここまで長編でできたのって、今までなかったのもあって、自己満足でしょうが素直にうれしい
とはいうものの、内容だって、暗いし、性的なことも絡んでるし、
どうよ?と思いつつ、ここまできてしまいました…。

当初は本当に、知り合いだけにこっそり見てもらえればいいなぁと。
それよりも訪問してくれる人なんていないだろうと思っていたブログですから、
ご訪問くださる方が少なからずいてくださって、本当にうれしい。

それで、毎年年末は超がつくほど忙しいのですが、
今の章、奈落は今年中にまでは書き上げたいと思っています。
自分的にはかなりヘビー…。
それでもこの章がなければ次章が続かないと思いましたので、がんばります。
もともとなかった章なのですが…。
というよりも、深淵の章があまりにも長くなりそうなので、途中で切って一章増やした、という感じです。(なので奈落の章は、深淵2といってもいいです)


新年明けてから、ゆっくりまたは一気に最終2章、書きたいと予定しています。

でも…本当にこんなに長くなるとは思ってませんでした…。

設定書ブログも年内には立ち上げは無理そうです

1月は意外と落ち着くので、全ては年明けとなりそうです。

まだ先は続きますが、どうかよろしくお願いします

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